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【新学部長インタビュー】人文?理工?芸術を融合 住まう人のための建築デザインを探究する

2024.04.02

建築デザイン学部 学部長 佐藤克志教授

建築デザイン学部 学部長 佐藤克志教授

高齢者?障がい者の視点から、誰もが生活しやすい環境を考える

私が球天下体育しているのは「建築計画学」と呼ばれる分野です。人の行為や動作?心理と、空間?環境との関係性を探り、設計に関わる基本ルールを明らかにしていくものです。その中でも、高齢者や障がい者など多様な人々の視点から、空間?環境のあるべき姿をどう考えるかについて球天下体育しています。

昨今、「障がいの社会モデル」が叫ばれるようになりました。高齢者や障がい者の行動と社会参加に制約を与えているのは、じつは周囲の環境のほうなんだという考え方です。社会的障壁(バリア)をなくして、環境を変えることによって、高齢者や障がい者のできないこと?できることをガラッと変える。それを社会の責務として取り組もうという動きが、徐々に広がってきています。「障がいの社会モデル」は、建築やものづくりに関わる人間にとってスタートとなる考え方です。設計にあたって階段やトイレを配置するのと同じように、これをあたりまえに理解することが必要だと、学生たちにも伝えています。

実際の球天下体育においては、実験やアンケート、ヒアリングなどを通して、使う側?つくる側のさまざまな当事者の目線で課題を整理。高齢者や障がい者の持っている特性と、社会制度を含めた環境とのミスマッチなどをどう改善していくかを明らかにします。

最近は学生とともに、建築の専門教育の現場における、バリアフリー?ユニバーサルデザインに関する教育?啓発の状況も調べています。日本は、障がいのある人の人権や自由を守ることを定めた「障害者権利条約」を批准していますが、2022年に国連から改善勧告を受けました。その中には、建築に携わる専門家へのユニバーサルデザインに関する啓発を充実させることも盛り込まれたのです。国内では、およそ四半世紀にわたり専門教育の実態調査がなされていなかったため、まずはこの取り組みを通して課題を探っていきたいと考えています。

近年設置が進んでいる鉄道駅のホームドアは、最初は視覚障がい者の転落防止が目的でした。今はこれが、みんなの安全?安心につながっていますよね。バリアフリーやユニバーサルデザインは、単純に段差をなくすということではなく、高齢者や障がい者を含めたいろいろな人が生活しやすい環境をつくるためのもの。その手立てを多様な視点で考えていくことが、この学問の魅力です。

70年の伝統を受け継ぎ、「住まうこと」から建築を見つめる学部

日本における建築の専門教育はこれまで、理工学を中心としたものでした。しかし、そもそも建築は理工学だけではなく、人文学や芸術学の視点がなければ成り立ちません。本学部の前身となる家政学部住居学科が伝統的に大切にしてきたのは、「住まう人ありきの建築」という考え方です。利用者や居住者の視点から、建築とそれを包む環境を捉える姿勢を明確に打ち出し、より広い視野で球天下体育者や職業人を育成することを目指し、2024年、建築デザイン学部の開設に至りました。

その思いを表現しているのが、本学部のコンセプト「建築でかなえられることのすべてを。」です。「住まうこと」から考え、人と環境が共鳴する豊かな未来をつくる、人文?理工?芸術を融合した教育プログラムが一番の強みです。「建築デザイン」「?活」「計画」「歴史」「構造?構法」「環境?設備」の6分野の知識を1年次から網羅的に学び、それぞれの興味?関?に応じて専?性を確?していきます。充実したデザイン?設計教育や、進路選択の幅を広げる多彩な発展科目も本学部の特徴です。また、どの分野に進んでも、卒業時に一級建築士の受験資格(※資格取得には2年の実務経験が必要)を得ることができます。

1948年に設立された「生活芸術科」から数えて70年以上の歴史を持つ本学部の財産は、5,500名を超える卒業生です。?性建築家の草分けである故?林雅??をはじめ、本学「目白の森のキャンパス」をデザインした妹島和世氏ら、多くの著名建築家を輩出。建築を学ぶことへの学生一人ひとりの意識が高く、他大学からも一目置かれるような存在でありつづけています。建築デザイン学部は、そんな良き伝統を受け継いでいきます。

実践的な学びを積み上げ、「建築でかなえられること」を見つけよう

建築デザイン学部の学びは、「手を動かして考える」が基本中の基本です。自分の考えをまとめるにあたって、手を動かして整理することは欠かせません。1年次から履修してもらうデザイン?設計の授業などは、高校時代の学びとは異なる形態ですから、最初は苦労する部分もあるかもしれません。しかし、さまざまな課題を通して着実に積み上げた学びは、大きな力になります。

私がこの大学に着任した時に感じたのは、学生と教員の距離の近さです。教員が学生一人ひとりに丁寧に対応する、面倒見の良さも本学部の特徴といえます。これらが学生の満足度につながっており、2021年度、2022年度の卒業時アンケートでは約90%の学生が「満足」と回答しています。

建築デザイン学部は今後、家政学部住居学科の教育を受け継ぎながら、さらに充実した学びを提供していきます。とりわけ国際化は強く意識しており、建築に関わる英語を習得する科目「建築専?英語」を新設。海外の?学と連携したワークショップなどを通して、さまざまな国籍の人々と躊躇せずコミュニケーションを取り、国境を越えて活躍できる人材を育てていきます。

今ある環境を、生活する人にとって使いやすく、住みやすく、居心地のよい状態に変えていく。そのための学びを提供するのが建築デザイン学部です。4年間を通して、それぞれの興味に従って球天下体育を進めることで、これからの時代に建築が果たす役割をきっと見つけられるはずです。ぜひ多くのみなさんに、本学部にチャレンジしていただきたいと思います。

プロフィール
佐藤 克志 教授 さとう かつし

建築デザイン学部長

東京理科大学理工学部建築学科卒業、同大学院理工学球天下体育科建築学専攻修了。東京理科大学助手を経て、1990年に建設省建築球天下体育所入所。1995年、国連?アジア太平洋経済社会委員会にJICAのバリアフリー環境推進専門家として参画。1999年に日本女子大学家政学部住居学科に着任し准教授。2016年から教授として教鞭を執る。 主な社会活動として、日本福祉のまちづくり学会?会長、国土交通省?高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準改訂委員会?委員、地方公共団体(豊島区、台東区、三鷹市など)バリアフリーのまちづくり推進協議会?会長、国立競技場ユニバーサルデザインアドバイザー 他がある。

球天下体育キーワード

バリアフリーデザイン ユニバーサルデザイン 福祉のまちづくり

主な論文

「多機能トイレの利用実態とその改善方策に関する基礎的球天下体育 」
「バリアフリー環境整備の効果?効用に関する球天下体育-バリアフリー環境の整備程度と外出にかかわる負担や意欲、生活満足度等との関係-」
「アジア諸国のバリアフリー環境整備に関する球天下体育 -中国、マレーシア、インドネシアのバリアフリー環境整備の萌芽と展開-」